紅き蝶 白き魂
□4話
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暗闇の教室に紅い光が集まる。
それは徐々に膨れ上がり、僅かな静電気を発生させ終息した。
光の中から現れたのは行方知れずだった少女――美朱だ。
彼女は起き上ると戻って来れた喜びに体を震わせ、足早に教室を後にした。
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施錠されている校舎からなんとか外に出る。
冬の冷たい空気ですら懐かしいと思えるのは、『紅南国』が常に春のような気候だったからだろう。
そんな冬の寒さも気にせず、美朱は門をよじ登り学校から脱出する事に成功した。
ただ提示された『帰る条件』が本当ならば、帰るべき場所は“学校”ではなく“親友である唯の家”のはず。
それか一番繋がりの深い浅葱の部屋にでも現れそうなものなのだが。
(そういえば…ニセモノを倒す時、浅葱の声が聞こえた気がしたなぁ)
意識が飛んでいた事もあるためよくわからない。しかし朧気だが確かに彼女の叫び声が聞こえたような気がしたのだ。
「…って!あたしってば、また傷を作っちゃったじゃん!
どうしよう…浅葱、痛かっただろうな…」
いつもそう。自分が傷を作っては彼女に痛い思いをさせる。
共有しないこともあるが、大怪我をした時は決まって双子の姉にも痛みが走るのだ。
だからできるだけ怪我をしないように気をつけていたのだが、今回は不可抗力ゆえに彼女には予期せぬ苦痛を与えたかもしれない。
それが申し訳なくて罪悪感にかられてしまう。
「帰ったら謝らなきゃ…!」
美朱はそこでふっと疑問に思い周りを見回す。
ここではどれくらい時間が流れたのだろうか?
“向こう”に数カ月いたのだし、ここも同じ時間行方不明になっている可能性があった。
しかし、それにしてもこの冷たい風は“冬”そのものだし、校舎の周囲も見慣れた風景だ。
不思議そうに首を傾げていると、遠くから兄が自分の名前を呼びながら走って来るのが見え、美朱は喜びで顔を緩ませる。
………が、彼女にとって数カ月ぶりの再会。
しかし、ここでは“二時間ぶりの再会”と知らされ美朱は驚きで叫び声をあげた。
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