紅き蝶 白き魂

□8話
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「う…ぅん……ここ、は?」

うつらうつらした意識の中浅葱は声を出したが、口が渇き言葉が掠れていた。

働かない頭で目だけを動かし辺りをぼーと見るが視界がボヤけ良く分からなかった。
ほわぁっとした感覚は熱があるせいなのだろう。

頬に張り付く髪が気持ち悪く浅葱は眉間に眉をよせた。

だるくて億劫なのはやはり無理をしてしまったからだろうな…とまるで他人事の様には思いながら再び目蓋を閉じる。

今は何も考えたくなかった。

そのまま暫く目を閉じていたが、喉の渇きに勝てず霞む目を開けのっそりと身体を起こした。


「………みず、どこ?」

「はい、水よ」


さ迷っていた手に茶器が触れ、浅葱は疑問に思わず茶器を持つと震える手でなんとか飲もうとした。
だが水はチャプと音をたてるだけでうまく飲めない。僅かに零れた水が服に染みを作った。


「体力が落ちているからね。ちょっとごめんなさい」

震えていた手に誰かの手が添えられ、固いものが背中にあたる。
それは今まで浅葱の看病をしていた柳宿の肩なのだが、水しか目に入っていない浅葱には「何かに支えられている」としか分からなかった。

浅葱はその「何かに」支えられながら、ゆっくりと水を飲んでいく。
よほど乾いていたのか、茶器にあった水は直ぐに飲み干された。

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