□木村圭子にご用心
1ページ/1ページ




…何かの間違いだろう。



武巳が部屋に入ると、ベッドの上に木村圭子――こと小崎魔津方が座っていた。


「…何してんの」

「暇潰しだ。」


全く理由になってない。

だからどうしてこんな所に居るんだよ、とツッコミたい武巳の前で、魔津方は武巳のベッドの下から何かを取り出した。


「所でこんな物を見つけたんだが」

「何、ってそれは―――!!」


その本の表紙は水着のお姉さん。俗に言うエロ本である。


「それ!沖本が無理矢理俺に押し付けてきたやつだよ!!て言うかベッド漁るなよ」

「小僧、こんな趣味があったのか」

「話聞いて!」


なんとも会話が噛み合わない。

不意に、魔津方が立ち上がった。


「小僧、」

「え?」



ドサッ…



「…」

「……」



…武巳は今の状況を冷静に考える。

(…俺の上に覆い被さっているのは圭子ちゃん――もとい魔津方で、…俺っていわゆる押し倒されてる状態?)


「小僧、こう言った物が趣味なのだろう。どうだ、満足か」

「だから違うって!!」


(あぁ、もう!)


覆い被さっているのは、一応女の子の体なのである。
柔らかくて軽い。

(違う!これは圭子ちゃんじゃなくて魔津方、中身は魔津方、中身は魔津方…)


ガチャッ…


「…………。」

「…………………………………武巳…?」


沖本………?


「おっ!沖本違うんだ、これはなんと言うか成り行きと言うか…」


真っ赤な顔で弁解する武巳。



「…圭子ちゃんに武巳、邪魔したな。…ごゆっくり!!」

「はい、先輩。」

「沖本も話聞いて!」


(ていうか圭子ちゃんもとい魔津方あああ!!!にこやかに返事するなよ!)


バタンッ…


「さて、面白い物が見れたし私は帰るか」

「本当に何しに来たの!?」


バタンッ…


誰もいなくなったあと、武巳は考えた。


(顔が真っ赤になったのは、中身が魔津方だって考えてたからだって、絶対言わない)



こうしてハチャメチャな夜は終わった。
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ