□木村圭子にご用心
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…何かの間違いだろう。
武巳が部屋に入ると、ベッドの上に木村圭子――こと小崎魔津方が座っていた。
「…何してんの」
「暇潰しだ。」
全く理由になってない。
だからどうしてこんな所に居るんだよ、とツッコミたい武巳の前で、魔津方は武巳のベッドの下から何かを取り出した。
「所でこんな物を見つけたんだが」
「何、ってそれは―――!!」
その本の表紙は水着のお姉さん。俗に言うエロ本である。
「それ!沖本が無理矢理俺に押し付けてきたやつだよ!!て言うかベッド漁るなよ」
「小僧、こんな趣味があったのか」
「話聞いて!」
なんとも会話が噛み合わない。
不意に、魔津方が立ち上がった。
「小僧、」
「え?」
ドサッ…
「…」
「……」
…武巳は今の状況を冷静に考える。
(…俺の上に覆い被さっているのは圭子ちゃん――もとい魔津方で、…俺っていわゆる押し倒されてる状態?)
「小僧、こう言った物が趣味なのだろう。どうだ、満足か」
「だから違うって!!」
(あぁ、もう!)
覆い被さっているのは、一応女の子の体なのである。
柔らかくて軽い。
(違う!これは圭子ちゃんじゃなくて魔津方、中身は魔津方、中身は魔津方…)
ガチャッ…
「…………。」
「…………………………………武巳…?」
沖本………?
「おっ!沖本違うんだ、これはなんと言うか成り行きと言うか…」
真っ赤な顔で弁解する武巳。
「…圭子ちゃんに武巳、邪魔したな。…ごゆっくり!!」
「はい、先輩。」
「沖本も話聞いて!」
(ていうか圭子ちゃんもとい魔津方あああ!!!にこやかに返事するなよ!)
バタンッ…
「さて、面白い物が見れたし私は帰るか」
「本当に何しに来たの!?」
バタンッ…
誰もいなくなったあと、武巳は考えた。
(顔が真っ赤になったのは、中身が魔津方だって考えてたからだって、絶対言わない)
こうしてハチャメチャな夜は終わった。