恋愛上等★イケメン学園
□帰り道(龍海)
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最近、私には異性の友達ができた。
彼はぶっきらぼうなくせに、優しい。
その彼とは……
公園で――
放課後、帰り道。
高校近くの公園のブランコに腰掛けて彼を待っている。
すると、小走りで駆け寄ってくる足音が聞こえてきた。
「あっ、また来てる」
言葉は嫌味っぽく聞こえるが、彼なりの歓迎の言葉なのだと最近気付いた。
「うん!来ちゃった。そんなこと言って、ホントは嬉しいくせに〜」
「そ、そんなわけないじゃん!バ〜カ」
「えぇ〜バカはヒドイなぁ…」
私がふふっと笑うと、彼もつられて笑顔になる。
そんな彼の前歯が見事に抜けていた。
そう……
彼は、小学2年生の男の子だ。
男の子とは、2ヶ月くらい前に同じ場所で出会った。
男子ばかりの高校や寮に馴染めず、学校の帰り道にこの公園にくることが日課になってきた頃、ブランコに乗っていた私に優しく声を掛けてくれたのだ。
あの日と同じ様に、男の子は黙って隣のブランコに腰掛けた。
「かけ算は覚えた?」
「まぁ、3の段までは完ペキかな」
「そっかぁ…頑張ってるんだね」
「あたり前じゃん。かけ算はオトナになってもつかうんだってママが言ってたもん」
「確かにそうだね。それに比べて、高校の勉強なんて大人になってから使うかわかんないのにね〜」
私がそういうと、男の子はなぜかさみしそうな表情になった。
「ねぇ……高校たのしい?」
「え?」
「おねえちゃん、高校がイヤでここにきてたんでしょ?」
「うん……最初は大変だなって思ってたけど、最近は楽しいよ」
「だってオトコばっかなんでしょ?」
「そうだよ。でも、みんな優しいんだ」
「おねえちゃんにやさしくしないオトコなんて、オトコじゃないよ!!」
「ふふっ、ありがと」
「オレが高校生ならおねえちゃんのこと守ってやれるのに…」
「ん?」
「だ、だからはやく高校生になりたいってこと」
「そうなんだ…?じゃあ掛け算早く覚えなきゃね」
「わ、わかってるよ」
拗ねたのか、勢いよくブランコをこぎはじめた。
そんな男の子を微笑ましく見ていると、視線の先に見慣れた姿が立っていた。
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