盲目の魔術士
□第四章 真実
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「……うっ……」
窓から日差しが射し込む。その光の眩しさに目を眩ませながら、黒竜は目を開けた。
「……うーん……朝……じゃない。戻ってきたのが夜明け前だからな」
目を擦りながら起き上がる。テーブルの上の水差しに手を伸ばす。
「昨日は久しぶりに飲んだなぁ」
黒竜はグラスに水を注ぎ、一気に飲み干した。窓の外を見やると、すっかり陽は昇り、街は祭りで賑わっている。
「…………」
ぼんやりとその光景を眺めていた黒竜は、ふと思い付いた様に手を打つ。
「あ。そーだ♪クリも起きてるよな。昨日はあんまり回れなかっただろし……祭り巡りに誘ってやるか♪」
言うが早いか、黒竜はパッと跳ね起き、部屋を出て行った。
「……今日も良いお天気……」
窓から見える青空を眺め、ラフィナは呟いた。向かいでクリオレシアが同じように空を眺めている。彼はラフィナの淹れたローズティーを口にしながら、穏やかな表情を浮かべていた。ラフィナは、視線を窓からクリオレシアの方へと移し、
「ところで……今日はどうしますか?」
彼女が問うと、クリオレシアはこちらに顔を向けた。
「クリオレシアさんがお疲れのようでしたらゆっくり休んだ方が良いと思いますが……もしそうでないなら、せっかくですし……お祭りを見物するのも良いかと……」
ラフィナがそう言うと、クリオレシアは少し困ったような表情を浮かべる。と――その時。
どばんっ!――
と、勢いよく部屋の扉が開く。
「よう!クリ♪ラフィナちゃん♪おっはよう♪良く眠れたか〜?」
「黒竜さん」
扉の向こうから、やたら明るい声で黒竜が声を掛けて来た。
黒竜は部屋の中の二人を見て、口元に手を当てる。
「……おや?もしかしてお邪魔だったかな?」
「えっ……いえ……そんな……」
「冗談、じょ〜だん♪可愛いなぁ、ラフィナちゃんは♪」
「黒竜さんっ」