白き鬼
□第9話 その旅路
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大和は深いため息をついた。
彼は今まで一人で旅をしてきた。
旅をしていれば、おかしな人間に出会う事もある。
――が。
そのおかしな人間と、一緒に旅をする事になるとは思わなかった。
「…………」
大和は無言で傍らを歩く娘を見やる。
彼女は鼻歌まじりに大和の隣を歩いていた。
「あっ!」
娘――小夜は何かを見付け、そちらに走っていく。
「見て見て大和! 綺麗な花が咲いてるー♪」
「…………」
大和は目を閉じた。
深い吐息と共に言葉を吐き出す。
「だから……勝手に動き回るなって言ってるだろうが!」
後半は語気を強めて言うが、彼女はまったく動じず、
「だって見たこと無い物がいっぱいで……楽しくて♪」
と、笑顔で返す。
「…………」