白き鬼
□第10話 小さな影
1ページ/51ページ
町に着いたのは、その日の夕暮れ。
町のあちこちに明かりが灯り始める頃。
町に足を踏み入れて、大和は小さく息を吐いた。
思えばあの村――小夜の住んでいた村を出てから、ゆっくり休めていない。
その時も、面倒な騒ぎのおかげで苦労した。
騒ぎの後、少しは休めたものの、もっと面倒なモノを背負う羽目になった。
とにかく、たまにはゆっくり寝たい。
そう思い――まずは宿を取ろうと思った時だ。
「!?」
突然、小夜がこちらに倒れ込んできた。
大和は慌てて抱き止め、呼び掛ける。
「小夜!?」
小夜は大和の腕の中で、ぐったりとしていた。
ゆっくり顔をこちらに向け、掠れた声で呟く。
「……ごめん……なさい……何か……体がだるくて……」
「な……」
小夜の額に手を当ててみると、かなり熱があった。
どうしたものかと思った――
その時。