白き鬼

□第10話 小さな影
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町に着いたのは、その日の夕暮れ。
町のあちこちに明かりが灯り始める頃。
町に足を踏み入れて、大和は小さく息を吐いた。

思えばあの村――小夜の住んでいた村を出てから、ゆっくり休めていない。
その時も、面倒な騒ぎのおかげで苦労した。
騒ぎの後、少しは休めたものの、もっと面倒なモノを背負う羽目になった。

とにかく、たまにはゆっくり寝たい。
そう思い――まずは宿を取ろうと思った時だ。

「!?」

突然、小夜がこちらに倒れ込んできた。
大和は慌てて抱き止め、呼び掛ける。

「小夜!?」

小夜は大和の腕の中で、ぐったりとしていた。
ゆっくり顔をこちらに向け、掠れた声で呟く。

「……ごめん……なさい……何か……体がだるくて……」

「な……」

小夜の額に手を当ててみると、かなり熱があった。
どうしたものかと思った――
その時。
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