白き鬼
□第14話 過去と未来と…
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それからどれ程の時間が過ぎたか。
大和は、ただ真っ白な空間に浮かんでいた。
何も見えず、何も聞こえない。
と――
――……て……――
大和はぴくりと体を動かした。
微かに――何かが頭の中に響いてくる。
これは――
(……声……?)
大和は自問した。
声は次第にはっきりと聞こえてくる。
それは女の声だった。
――……起きて。しっかり……気を確かに……――
(……誰だ……?)
大和はその声の主に向かって問い掛ける。
だが返事はない。
声が聞こえなくなり――大和の意識はそこで弾けた。
「…………」
大和はゆっくりと目を開く。
どれくらいそうしていたのかは分からないが、自分は意識を失っていたようだ。
上体を起こし、そして自身の体を見下ろして――驚く。
「……傷が……治ってる……?」