白き鬼

□第6話 空の涙(後編)
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木々の葉が鮮やかに色付き――そして散っていく。
山は、静かに冬を迎える準備をしていた。



その日、斬影は一人で町に来ていた。
仕事で出てきたのだが、そう頻繁に大和を連れ回す訳にもいくまい。
まだなんと言っても、七つの子供なのだ。

この冬で、漸く八つになろうかという――幼い子供。

斬影はいつものように、馴染みの店の戸を叩いた。

「よう」

店に入ると、斬影は軽く手を挙げて、店主に挨拶する。

「いらっしゃい。今日はアンタ一人か」

「……まぁだ言ってんのかよ」

斬影は半眼になって呻く。
店主は以前、大和に袖を――ついでに軽く頬を――切られた。
その事を根に持っているらしい。

「忘れるもんか。あんなおっかねぇ事」

「……だからもう斬らせねぇって言っただろうが」
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