白き鬼
□第2話 ある日の1日
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小物に見えても、どんな力を持っているか分からないのが妖魔の怖い所で、斬影には迂闊に触るなと言われていた。
「…………」
大和は足下にある小石をひとつ拾い、それを頭の上に乗せた。
すると――
ガリガリガリ……
どこが頭だか胴体だか分からないその毛玉は、小石をガリガリかじる。
「……ウマイか?」
聞いたところで返事は返って来ない。
毛玉はひたすら小石をかじり続けていた。
つまりこの毛玉に不用意に触れれば、その手を噛み砕かれるという事だ。
大和は小石をいくつか拾うと、家へと戻る。
頭に毛玉を乗せたまま。
斬影が居る時、この毛玉は姿を見せないし、何よりこんな風に妖魔を頭に乗せていると叱られる。
本当に危険なモノもいるが、少なくともこのテの小さい妖魔が大和に危害を加える事は無かった。