白き鬼
□第3話 冷たい雪
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「……うーん……」
斬影は腕組みして眼前の少年を見据えた。
銀髪紅眼の少年――大和は、頬杖をついてぼんやりと窓の景色を眺めている。
それは別に珍しい光景でも何でもないのだが、今日は少し様子が違っていた。
食事も摂らず、その場から動く気配を見せない。
「……どーしたよ? 今日はまた随分とご機嫌ナナメじゃねぇか」
朝から全く口を開こうとしない大和に、斬影は話し掛けた。
数日前、買い物に連れ出してから口を開くようになった大和。その日を境に、少しずつではあったが、感情を表すようになっていた。
それが朝起きてみれば、どういう訳か以前と同じように感情を消している。
「……別に」
漸く口を開いたかと思ったら、素っ気なく言葉を断ち切る。
斬影は嘆息した。
「……何だ。悩み事か?」
「…………」
茶を啜りながら、
「あれか? こないだ町で見掛けた娘が気になるとかか?」