白き鬼

□第3話 冷たい雪
3ページ/31ページ

その瞬間――
ガンッ!

「あだっ!」

斬影の顎に大和の投げた薪が直撃する。
まったく意識していない状態で受けた為、斬影はそのまま倒れた。
しかしガバッと跳ね起きると、大声で怒鳴る。

「てめぇ! ンなモン投げんじゃねぇ! 顎砕けたらどうすんだっ!」

斬影の方は見ぬまま、大和は薪を投げた腕を引っ込めた。
斬影は顎をさすりながらぼやく。

「……ったく。こっちも見てねぇのに命中率高過ぎるんだよ」

「そこに居るのが分かってるんだ。動いてないんだから見なくても当たる」

「ああそうかい。そりゃ大したモンだ」

斬影が投げやりにそう言うと、大和は無言で立ち上がった。
斬影の横を通り過ぎ、扉に手を掛ける。

「おい、何処行くんだ?」

「……別に」

短く答えて、大和は部屋から出て行った。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ