白き鬼
□第3話 冷たい雪
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その瞬間――
ガンッ!
「あだっ!」
斬影の顎に大和の投げた薪が直撃する。
まったく意識していない状態で受けた為、斬影はそのまま倒れた。
しかしガバッと跳ね起きると、大声で怒鳴る。
「てめぇ! ンなモン投げんじゃねぇ! 顎砕けたらどうすんだっ!」
斬影の方は見ぬまま、大和は薪を投げた腕を引っ込めた。
斬影は顎をさすりながらぼやく。
「……ったく。こっちも見てねぇのに命中率高過ぎるんだよ」
「そこに居るのが分かってるんだ。動いてないんだから見なくても当たる」
「ああそうかい。そりゃ大したモンだ」
斬影が投げやりにそう言うと、大和は無言で立ち上がった。
斬影の横を通り過ぎ、扉に手を掛ける。
「おい、何処行くんだ?」
「……別に」
短く答えて、大和は部屋から出て行った。