白き鬼
□第6話 空の涙(後編)
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嘆息まじりに斬影がぼやく。
机の上に、ドンと袋を乗せる。
「今日はまた随分と大量じゃねぇか」
「まぁな」
斬影は笑ったが、すぐにその笑みを消す。
「……日増しに数が増えてる」
「…………」
店主は、渡された袋の中身を検分しながら、口を開いた。
「……西の方は随分と荒れているそうだ」
「……西?」
斬影が眉根を寄せる。
「アンタが住んでる山の西側さ。あっちはかなり妖魔が出るそうだ。ちょうどあの山が境目になってるようだな。前にそっちから来たって奴が話してるのを耳にした」
「……西から流れて来てるって事か?」
斬影は低く唸る。
店主は曖昧な様子で、肩をすくめた。
「さてな。何にしても、こっちまで飛び火して来なきゃ良いがね」