白き鬼
□第8話 邂逅(後編)
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ほんの一瞬、小夜の体が震える。
彼女は立ち上がると、戸口の方へ向かった。
「時間だ」
「はい」
村人に連れられ、彼女は出ていく。
小夜は振り返り、
「じゃあ……私行きますね」
笑顔でそう言って、小夜は戸を閉めた。
部屋の中には、大和一人が残される。
「…………」
窓から、暗闇に消えていく小夜の姿を見て、大和は嘆息した。
刀を握る。
この村の話を聞いた時から――大和はそのつもりだった。
自分はこの村を出る。
どんな手を使ってでも。
「……無理しやがって」
低く呻いて――大和は家を出た。