白き鬼
□第9話 その旅路
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大和は額に手を当て、
「……そんなのそこら辺にいくらでも咲いてるだろ……」
疲れたように呻く。
小夜は、自分の住んでいた村から出た事が無いらしく、暫くは大人しくしていたが、村から離れるにつれて興味を示す物が増えてきた。
それは花であったり、蝶であったり、鳥であったり……
とにかく自分の見たことが無い、珍しいと感じた物を見付けると、こちらの制止も聞かずにそっちに走っていく。
そのおかげで、先ほど軽く道を見失った。
どうにか道に出られたものの、こんな事を繰り返していたのでは、一向に先へ進めない。