白き鬼
□第10話 小さな影
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「どうしたの?」
背後から声が聞こえてきて、大和はそちらに顔を向けた。
声を掛けてきたのは若い娘。
年齢は自分とさほど変わらないように見える。
茶髪で、快活そうな瞳をしていた。
彼女は大和の腕に抱かれている小夜を見て、
「あらら。彼女、具合悪そうね」
「ああ……ちょっと体調崩したみたいで……」
「あたしが診てあげようか?」
彼女の一言に、大和は目を丸くした。
「……アンタ医者なのか?」
訊くと、娘はかぶりを振る。
「じゃないけどさ。ちょっとそういうのは分かるつもりよ」
「…………」
「家すぐそこなの。ついておいでよ」