白き鬼
□第10話 小さな影
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「…………」
一瞬迷ったが、着いたばかりの町で、医者を探して歩くのも容易では無い。
小夜も、自分の足で歩くのは辛いだろう。
大和はひとまず、その娘について行く事にした。
彼女の言う通り、家はすぐそこ――目の前の通りにあった。
中に入ると、そこは雑貨屋のようだった。
店の奥へ案内され、娘が布団を敷く。
「そこに寝かせてあげて」
言われるまま、大和は小夜を布団の上に寝かせた。
娘は小夜の側にしゃがみ込むと、小夜の額に手を当て、唸る。
「……うーん。風邪っぽいね。それに少し疲れも溜まってるみたい。熱は高いけど……安静にしてればすぐ良くなるよ」
「……そうか」
ほっと胸を撫で下ろし、大和が息をつく。