白き鬼
□第11話 目覚め
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彼は目を開く。
長く眠りについていたが、目が覚めた。
外が騒がしいせいだ。
もし不快な事があるとすれば、こういう事だろう。
それは人間に狭い祠に閉じ込められた事ではなく、ましてや、一人の女に負けた事でもない。
それは――
「見ろ! この玉! こんなお宝滅多に拝めるもんじゃねぇぞ!」
「やっぱり噂は本当だったんだな! こいつを売れば、俺達は大金持ちだ!」
「早いとこ取っちまおう。村の連中は『祠には近付くな』なんて言ってたが……こんなお宝目の前にして黙って見てるだけなんて出来るもんか」
それは――こういう品の無い連中に叩き起こされる事だ。
聞こえてくる声は、三人の男の声。
彼は深々と嘆息した。
(……よりにもよってこんな連中に起こされるとは……)