白き鬼

□第12話 百年の時(前編)
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久遠はうっとりとした表情を浮かべていたが、くるりと鬼の方へ向き直り、

『大袈裟ではありません。鬼様のお力があれば、この地から人間共を追い払えるハズです!』

キッパリと言ってくる。

『……それはどうかな。ま、ここら一帯を更地にするくらいは出来ようが……』

空になった酒瓶を投げ捨て、

『俺はそんな事をするつもりは無い。物を壊したり、人を怖がらせるのはあまり趣味ではないしな』

『鬼様……』

それを聞いた久遠が、ぽつりと呟く。

『……でもさっきちょっと楽しそうでした』

その瞬間。
ゴッ!――

久遠の頭上に鬼の踵が落ちる。

『痛いっ! 痛いっ! 痛いっ!』

頭を抱えてのたうち回る久遠に、鬼が低い声音で告げた。

『……次は割るぞ。その頭』
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