白き鬼

□第14話 過去と未来と…
2ページ/70ページ

体はどこも痛まない。
鬼に貫かれたハズの左手も、傷痕も何も残っていなかった。

「……どうなってるんだ?」

訳が分からず、大和は辺りを見回す。
夢でも見ていたのかと思う。

しかし……
小夜の姿はどこにも見えない。
地面には抉られた跡や、血痕が残っている。
夢では――ない。

「……小夜」

大和が小さく呟いた――その時。

「……気が付きましたか?」

「!」

どこからともなく声が聞こえてきた。
それは先ほど、夢現の狭間で聞いた女の声。
しかし、姿は見えない。

「……誰だ。どこにいる……」

大和は辺りを警戒しながら呻く。

「ここです。貴方の目の前……」

「!?」

声がそう言った瞬間――
純白の閃光が辺りを強く照らす。
あまりの眩しさに、大和は思わず目を閉じる。
暫くして目を開けると、目の前に女が立っていた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ