白き鬼
□第15話 旅の終わり
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「大和が鬼を倒したって知ったらみんなビックリするね♪」
「……別に俺が倒した訳じゃない。あんなの……一人じゃどうにもならなかった」
小夜の言葉に、大和は嘆息する。
実際、一人で戦っていたら一太刀も浴びせる事は出来なかっただろう。
あの鬼を倒す事が出来たのは、自分一人の力ではない。
「あれは――……」
と、大和が口を開いた時。
ガシャアァァァァン!
「ど……泥棒――っ! 誰かそいつを捕まえてくれぇ!」
「!?」
「…………」
大きな物音がしたかと思うと、すぐ近くの青果店から悲鳴があがる。
人混みを掻き分け、こちらに走ってくる一人の男。
その腕には野菜や果物が抱えられている。
それを見て、大和は深々とため息をついた。
「……こういうのを見ると日常に戻ったって気がするな」