原作沿い

□第4話
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「……!」

嫌な気配を感じた。
それと同時にクナイが飛んでくる。
そこには起爆札が付けられており、その場を離れ瞬間、大きな音を立てて爆発した。

「来るぞ、氷咲」
「えぇ」

舞い上がる砂煙の向こう側、人の姿が現れた。
ギュッと握り拳に力が入る。
絶対に失敗しない……!


「また忍に会うとはな」

一人の忍が現れた。
顔にはマスクが付けられており表情が分からないものの、その鋭く光る眼光には殺気立つものがあった。

「何者だ?」
「名乗る必要はない、お前達も死ぬのだから」

落ち着いたその言動に感じる確かな自信。相当な手練れの忍だろう。

「目的は木ノ葉か?」
「いや…別に興味ないね。俺は新しい術を試したいだけだ。奴の言った通り、ここだと定期的に忍がやってくる」
「奴だと?」

今回の任務での目的人物は、上忍クラスの忍の失踪…その原因を作った犯人。
失踪した忍の遺体すら未だに見つからない。
しかし、目の前にいるコイツはその場で忍を殺害している。
一人で二つの遺体を運ぶとも考えにくい。
今回の目的の人物ではない可能性が高いが、この忍が言ったW奴Wという言葉が引っ掛かる…

「ゆっくり話を聞きたい所だけど、それは牢の中でしてもらおうかな」

そう言うと、カカシさんは額当てを持ち上げた。

「成る程…お前、写輪眼のカカシか。ならば新術の試しがいがあるな」
「氷咲、久しぶりのチーム戦だ」

闇の中、月の光に照らされた紅い瞳が浮かび上がる。
それは強く、美しく、そして悲しい色を帯びていた。
私達以外、この世界に誰もいないんじゃないかと思える程の静けさだった。

先に動き出したのは相手。こちらに向かってくる。
男はカカシさん目掛け刀を抜いた。

キィーーンと、静けさを掻き消すように刀と刀がぶつかる高音が響き渡る。

私は咄嗟にチャクラ刀を抜き、カカシさんの前で相手の攻撃を防いだ。
押し合う刀のギリギリと鳴る音と、私の名を呼ぶカカシさんの声が後ろからする。

「お前から先に殺るか」

そう言うと男は横から蹴りを入れてきた。

「……!」

蹴りが入る直前に氷の盾を作り、攻撃を防ぐ。
一瞬の間を見逃さず、お返しに回し蹴りをお見舞いしてやった。
飛ばされた先には既にカカシさんが待ち構えており、2人が攻防戦を繰り広げる。
やはり、相手の動きから戦闘経験の多さが見て取れる。
一発じゃ簡単に仕留められる相手ではない。

そんな中、男の放った言葉が私の運命を変えるきっかけになるとは、この時はまだ知る余地もなかった。

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