王子様と変態ちゃん

□王子様からの告白
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グラウンドに響くボールを蹴る音と声。
サッカー部が練習する風景、大勢の部員の中でもすぐ分かってしまう彼の姿。
キラキラ光る汗を拭きサッカーボールを追い掛けるその姿は何とも美しく、私の視線を釘付けにした。

「赤根パイセン〜〜〜今日もなんて麗しい…っ!」

掃除当番で教室を掃除している私、青葉める。1階の中央にある自分の教室はまさに先輩の部活動を眺めるにはうってつけの場所なのだ!
赤根先輩はこの学校で1、2位を争うモテモテっぷりで、他校でも非公式ファンクラブも存在するらしい…まさにアイドル!
ルックスは高身長イケメンというより、少し小柄で中性的でありながら顔面の偏差値東大で愛嬌の塊という可愛いの暴力。そんじょそこらの女子より圧倒的に可愛く、自分の中の雄を目覚めさせる天才である。
首からぶら下げる双眼鏡で先輩の姿を追う。

「なにあのツヤツヤの肌!もう赤ちゃん!赤根先輩じゃなくて赤ちゃん先輩!!私の推し怖い!!!」

サボるなよーというクラスメイトの声に「へいへい」と返事をした矢先、推しの姿を見失う。
は?ざけんなよ。掃除と先輩どっちが大事だと思ってんだよ!

急いで双眼鏡を構え、グラウンドの隅々まで探し回る。

「えっ嘘…この私が先輩を見失うなんて」

そのストーカーじみた行動に掃除当番組はもう何も言わずに私を白い目で見た。

「ねぇ、君いっつも部活見てるよね?」
「ん……?」

双眼鏡を下ろし、声の先を見ると。
何と私の目の前には…窓越しに失ったはずの赤根先輩の姿が。

(ーーーーー赤ちゃん!!!!)

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