灰色ロータス

□第一夜…失踪していたエクソシスト
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一方、外では―――…。






ドガッ!!!!!!



「チッ…」

『“チッ”じゃなくて危ないじゃないですかー』



二人の戦いは未だに続いていた。

神田は六幻を構えながら鋭い瞳を前に向け、暗闇に紛れている相手を見つめる。



「うるせぇ。面見せろ」

『何でですかー』

「エクソシストかどうか確かめんだよ」

『エクソシストですよー。…あれ、何でエクソシストの事を知ってるんですかー?』

「……は?」



神田は何言ってんだこいつ、的な視線を相手に向ける。

そんな神田の様子に構わず、銀色の人物は言葉を続ける。



『あー、貴方もエクソシストじゃないですかー。びっくり』

「…界蟲一幻」

『うぉっ、何ですかー』

「(何だこいつ。ワケわかんねぇ……だが―――)」



相手に向かい界蟲一幻を放った神田は、六幻を振るっていた手を止めた。

何やら難しい顔で相手を見つめる。



「(時々、六刀を振るうこの手が…止まりそうになるのは、何故だ?)」



何だこの感覚は。

自分の中に渦巻いている訳の分からない何かに、神田は内心で困惑する。

そんな神田の耳に、攻撃が掠ったらしい相手の声が届いた。



『あ、痛い…』

「!!」



ピタッ―――。


神田の動きが止まる。

六幻を持つ手がほんの僅かに震えていた。



「(…何でだ)」



何故、目の前の人物を斬る事に、躊躇いを感じるのか。
その理由は何一つとして浮かんで来ない。


神田が一人自分と葛藤している間に、銀色の人物は団服についた土埃を払っていた。



『…ふー。オレが普通の人間だったら死んでますよー。おい其処の黒髪ロン毛パッツン』

「………(思考中)」

『あれ…おーい』

「………(思考中)」


『停止しましたねー。今の内に…』

「……おい」

『うおっ、生きてたんですかー?』

「勝手に殺すな。 … フード取れ。面見せろ」



そう言った神田に、銀色の人物は嫌そうな声でこう言った。



『またですかー。生憎オレはそんなイケメンさんじゃありませんよー』

「んな事どうでもいい。とっととしやが《神田君!!!》 ッうっせぇよ!!」



二人の無限に続きそうな会話に終止符を打ったのは、コムイからの通信だった。








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