ぼかろ小説A

□14.ひきょうしよう
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僕が、また控え室に戻った時にはもうめーちゃんは戻ってきていて。

「…めーちゃん、先に帰っててもよかったのに…。」

返事は返ってこない。

めーちゃんは、またさっきのテーブルに突っ伏していたから。

安らかな寝息を立てて、眠っていた。

「もう…。」

その顔がとても幸せそうで、

僕はしばらくの間ずっと、めーちゃんのことを見つめていた。

「…あーあ。」

そのまま、床に座り込む。

僕が、

いつか歌った曲のヒーローならいいのに。

それなら、

僕は君にすべてを伝えられる。

今だって、躊躇しないで…。

めーちゃんを。


君を連れてどこまでも行ける。

それを出来ないのは、僕が弱いから…。

「…ほら、めーちゃん。起きて。帰るよ。」

君に触れることさえ出来ない僕は。

どれだけ弱いんだ。

もっと強くなりたい。

「ん…?…カイト。」

「帰ろう?…め…ぇちゃん。」

「…そうね。」

君を呼び捨てにする勇気も出ない。



帰り道。

「めーちゃん。僕、変わった方がいいのかな…?」

めーちゃんに聞いてみた。

めーちゃんはいきなりでとても驚いていたけど、

笑って言ってくれた。

「カイトは…そのままでいいわよ。」

だから思ったんだ。

僕はヒーローじゃない。

僕は僕なんだ、と。

「…そうだね、ありがとう、メイコ。」

「うん。…って、えっ?…ちょっと、呼び捨てにしてんじゃないわよ!」

「…え?…あっ!」


僕はカイトだから、メイコのことが好きになったんだ。



あとがき

…おまけの価値が。

最初は、『卑怯』で書こうと思ったんですが…。

どうもそこまでは書けず断念。

というか憧れちゃだめだカイト。

そして意味不明文。

…ごめんなさい。

では、おまけでした。

8/15 凍都









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