APH小説
□…後悔は、
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「………」
「………」
…気まずい。
お、俺…何か悪いことした………よなやっぱり。
思い当たる節があるだけに、俺らしくもない、何も言いだせないままでいる。
あの後日本は、俺をゆっくりと降ろし、お茶でも飲みましょう、と微笑んで前を歩いていった。
…今何か言えば、また日本を怒らせかねない。
俺がそんなことを考えながら緑色の水面を見つめていると、
日本が一口、口をつけ、
「…緑茶ではなく、他の物の方が良かったでしょうか?紅茶、とか、……さすがにこんな昼間からワインはご遠慮願いたいですが。」
くす、と小さく笑いながら言う。
「流石のお兄さんでもそれはしないから、大丈夫だって。……ん、美味しいよ、少し…変わった味だけど。」
日本が何事もなかったかのように言ったから、俺も何も見なかったことにしよう、そう決めた。
「変わった味ですか…そうですね、フランスさんのところではあまり飲まれませんしね。……あっ、…私としたことが。…フランスさん、ここで少々お待ちくださいね。」
「…あ、ああ…。」
…さっきのことがあったからか、ここで、と言う言葉がやけに強められて聞こえたような気がした。
…もう、ほんと…俺らしくないなぁ…。
日本に怯えるなんて…、…というか日本は少し怖いと思う。
まず何を考えているのかよく分からない。
いつも微笑んでいるし、あまり人の意見を否定しないし。
…さっきの本だってそうだ、…あれは…?
考えていることどころか、…ほとんどのことが良く分からない。
…なのに俺がこうしてここに来てしまうのは、…なんでなんだろうな。
日本のことをよく知りたい?
日本に興味がある?
……確かに、そうなのかもな。
……ん?
そういえばさっきの本は、
「…すみませんフランスさん、私としたことが茶菓子を出すのをすっかり忘れてしまっていて……!……フランスさん?どうなされたのですか、そんなに考え込んで、」
「…日本。」
「は…はい、なんでしょう?」
少しだけ日本の顔が強張ったような気がした。
見なかったことにしようとしたけれど、あれは…!
「…俺、日本の家のアニメとか好きだよ。」
「…え?…あ、ありがとうございま…す…。」
「あれ、あの本、日本の家のアニメのキャラクターだろ?……ちょっとお兄さん気になるから、見せてほしいなー。」
「……えっ、そ、…それは…その、…きっと後悔しますので、やめておいた方が宜しいかと…っ!」
「…大丈夫だよ。」
日本は迷う素振りを見せていたものの、…そこまで仰るなら…、と少し決心したような表情を見せた。
日本はさっきと同じように俺の前を歩いていく。
それに…さ。
俺は後悔はしないと思うよ。
…日本のことを、少しでも知りたいから。
日本が好きなものなら、俺もきっと好きになると思うんだ。
後悔は…、
(なんだよこれ…!)
(…やっぱりフランスさんには刺激が、)
(最高じゃないか!!…日本の文化はなんて素晴らしいんだ!)
(え…?!)
(お兄さん気に入っちゃったよこういうの!)
(…私的に、こちらもお勧めです…っ!)
(おお!!)
あとがき
こうして兄ちゃんはヲタクとなるのでした。終わり。←
そして近い将来、本田さんと何度も修羅場を経験することになるのです。
…仏日を書きたかったはずなのに。
兄ちゃんがヲタクとなるまでの話になってしまいました。
兄ちゃんは部屋を間違えただけです。
そこで目にしたのは言わずもがな『薄くて高い本』でした。
という話でした。←←
ヲタク国家の仏日が好きです。が、書けません。
仏日と言うより仏→日よりですし。
…読んでくださって、ありがとうございました!
12/13 凍都
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