逸話
□崩壊ヘノ序曲
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此処は…?
何も見えない…
眩し過ぎる閃光の中なのか…暗闇か…
身体を支配する痛みと共に魔獣の唸り声と複数の男達の声が聞こえる…
『ばかやろう!言わんこっちゃ無い!!』
『本人の意思に関係無く[禁じ手]なんか発動させたらどうなるか…白煙!時間が無い!!』
『…わかっているヤツが来る前になんとかしないとな…』
『もう…アレは赤煙じゃない…』
『黒煙!お前と俺の[禁じ手]ならあるいは…』
『命を奪わずに…しかし!』
『議論している暇は…何!?』
『モウイイ…ケソウカ…』
『クッ!きやがった…』
………誰?
『紫煙!貴様ァ!!』
………紫煙!?
「嫌ァァァッ!!!!!」
…此処は?…
辺りを見渡し、見慣れた部屋の佇まいに夢と解る…
私はヤコ…
…夢なんか見たこと無かった…悪夢なんて…
外はまだ雨…
なんだったんだろう
側にユナがいない?
何処?
急に不安に駆られ起き上がる
…ロフトで李積と共に将棋を嗜むユナ…
…良かった…
不安が和らぐ
「やあ♪おはよう、良く眠れたかい?」
「朝っぱらからスマンなお邪魔しとる」
良かった…いつもの風景だ…
「ゴメンなさい、夢を見てたの…」
「夢…だと…」
李積の眉間が歪む…
「ヤコどんな夢だったんだい?ひょっとして俺の夢?」
ユナが問い掛ける…
「そうよ♪ユナの夢…とても幸せな夢」
私はユナを安心させる為、嘘をついた…
李積の眉間はまだ歪んだまま…将棋の次の手はもう決まっているはずなのに…
…今日も雨は止みそうに無い