小話

□雨煙
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-起-

雨が降っている

やけに冷たい雨だ

男が一人。煙草に火を点けようとするも、既に濡れていて点きそうにもない

竹林の中の細い道

竹の細い葉は雨を受け止める事無く、ただただ下へと流してゆく

「彼は居るのだろうか…」

ともすれば雨の音に紛れて消えそうな独り言を男が呟く

雨に煙る細道の先に一軒の小さな庵が見え隠れしている

男は煙草を諦め、その庵に向かって足を急がせた
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