SPIRAL
□きっといつか
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「今日もカノン・ヒルベルトのことで色々調べさせちまって悪かったな。
夜遅いから気をつけろよ」
「あらっ、鳴海さん心配してくれてるんですかぁー?」
わざとふざけ口調で言ってみる。
・・・心臓はバクハク鳴っていて今にも破裂しそうなのだが。
「あんた何もないとこで転びそうだからな」
「なっ、私そこまで馬鹿じゃありませんから!!」
「どーだか」
やっぱりそういう心配しかしていないのか。
心臓が萎んでいくようだった。
「じゃ、また明日」
「はい。
・・・鳴海さん」
「何だ?」
「いい夜を」
「あんたもな」
そう言って片手を上げて去っていく。
明日はカノンのカーニバルの日。
鳴海清隆からそう伝えられている。
鳴海さんと出会って、沢山の日々を過ごしてきた。
鳴海さんは自分に自信がない負け犬だ。
でも、いつからなんだろう・・・
「・・・どうして、あんな人好きになっちゃったんでしょうね」
いつかきっと・・・いや、そう遠くない内に私と鳴海さんは離別する。
だけど、それまでは・・・
「せいぜい恋させて頂きますよ」
清隆さん、これもあなたの思惑通りなんですか?