BL小説2
□善意の悪戯
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「だって、ミカゲっ‥…!」
「いーじゃんか、現に俺とお前は 教会内でずっと一緒に過ごしてるんだし」
大丈夫だって、と強気な笑顔でそんな風に言われてしまうと、テイトもそれ以上言い返す気にはなれなかった
少なくとも二日はそのままでとカストルたちは言い残し、その場から出ていった
その後を追うように、ミカゲはテイトの手を引き、部屋へと戻るのだった……
しかし、現実はそんなに簡単な話ではないとすぐに思い知る…
手枷で繋がれた状態にして始めに困ったのは、着替えだった
「ちょっ‥ こらテイトー!動かないでくれっつってるだろー!」
「っなんだよ、仕方ないだろっ 引っ張られるんだから‥っ………!」
ぎゃーぎゃーと騒ぎ立てながら、その日の夜はゲストルームから二人の声がだだ漏れていた
仕方なく二人は来ていたシャツの袖を破ると、シーツのような大きめの布で身を包み
服の件は明日司教たちに相談するしかないか、と一斉に深い溜め息を零す
──そんなテイトたちのことを、影からこっそりと見守る司教たちの姿があった
「……これで、本当に回避出来れば良いのですが…」
「大丈夫。今、彼らは離れたくても離れられない……不吉な影は遠退いているよ」
心配げなカストルに、ラブラドールが言葉をかける
フラウは無言のまま、彼らをただじっと見据えていた
「そうですね… では、私たちは戻りましょうか」
「あぁ、そうしようぜ。今あいつらに見つかったりしたら きゃんきゃん噛みつかれそうだからな」
真剣な話も、フラウが笑い話に変えて司教たちはその場を離れていった
一方、溜め息を零したまま沈黙していたテイトとミカゲは、手枷があっては何も出来ないだろうと思い、寝る準備をしていた
「ベッドどーする? こんなに離れてたんじゃ、バラバラには寝られねぇと思うけど………」
部屋のベッドは、シングルが二つ 少し離れた位置に置かれている
布団を整えていたテイトがぽろりと呟くと、何の躊躇いげもなくミカゲが隣のベッドから枕を持ち出し、テイトに手渡す
「そんなの、一緒に寝ればいいってだけのことだろ?」
にこにこしながら平然と言ってのける彼に、テイトは苦笑を浮かべつつも、仕方がないと頷くのだった
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