裏会

□文化祭
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出来たら式神飛ばすから…と良守に言われ、いったん家に帰った時音は、夕飯と入浴を済ませてから、自室で勉強をしていた。

すっかり真夜中になった頃、黒い鳥が部屋の窓をコツコツと嘴でノックしてきたので、時音はすぐさま良守の部屋に行った。

『ほい。完成したぞ。』

ポンと渡された布は、すっかり洋服に様変わりしていて、時音は目を丸くして良守を見た。

『わ…スゴ〜い。やっぱアンタ、なにやらせても器用ねぇー…。』

短時間で完成させたわりに、ものすごく丁寧に縫い上げてある服は、まるで買ってきた既製品のように綺麗な仕上がりだった。

感心しながらその服をマジマジと見ていたら、良守は何やら憮然とした顔で私を見つめてきた。

『ん?なに、良守…どうしたの?』

こくっと首を横に傾げ、良守を見つめ返すと、何故か彼はキリキリと眉間の皺を深くした。

『お前、それちょっと着てみろ。』

『は?』

なんなの?
何でそんな怖い顔してんのよ…。
何でそんな怒ってんの?

『良守…カオ、怖い…。なんか怒ってる?』
『怒ってない。だから着てみて。』
『…………ヤダ//』

ぷぃっと横を向いて時音は頬を赤らめた。

─なんだろう…。
なんか物凄くヤな予感する。

『時音、着てみないとちゃんと出来てるか分かんないから…ね?』

フッと表情を緩めて、優しい声を出す良守に、さらに不信感は募っていく。

だがまぁ…確かに着てみて不都合なところがあったらすぐに直してもらわないといけないのも事実…。
なにせ時音は自分じゃ、どうしようも出来ないのだから…。

『着るのは…イイけど…変なことしない?』

『ヘンな事?…ってどんなコト?』

『うっ…。』

時音は思わず言葉に詰まる。

(どんなコトって…。)

エッチなコトって言おうものなら、きっとコイツはニヤニヤしながら言うんだろう。

期待してんの?とか
誘ってんの?とか…
嬉しげに言いながら、結局コイツの思う壺にハマっていっちゃんうだー…。

『ねぇねぇ、ヘンなコトってなぁに?』

やっぱりニヤニヤしながら期待に満ちたアホ顔が近付いてきて、時音はその額に、平手で上から下に振り下ろした。
ペシーンとイイ音をさせて、少しソコが赤くなるほど…。

『イッテ!!もー、お前はランボーだなー。』

自分の額をナデナデしながら、恨みがましい視線を向けていたが、時音だって負けないくらい赤い頬を良守に向けている。

『煩いっ//着替えるからあっち向いててっ!!』

思いっきり良守を睨み付けて、時音はグルッと背中を向けた。

『…脱がしてやろうか?』

『ンなコトしたら…シバくわよ?いいから早くあっち向いてな。』

『ククッ。ハイハイ。』

良守は込み上げる笑いで肩を震わせながら背中を向けた。

─可愛いなぁ、時音は。
なんだかんだ言ったって、結局最後は俺の言う通りにしてくれるんだから。
ホント、コイツは人が良すぎる。

背後から聞こえる衣擦れの音が、余計に時音のエロい身体を想像させて、ドキドキする。


『良守…着たよ?』

おずおずと声をかけられ、良守が振り向くと、着替え終わった時音が、モジモジと俯いて立っていた。

黒いワンピースに白い襟
それにヒラヒラのエプロン…。

『ああ…可愛い…。
あのさ…その服はもしかして…メイド服?』

ドキッと鼓動が跳ねる。
良守の声が、少しキツく響いたから…。

『ん…まぁ。』

『メイド喫茶なの?』

コイツ…、いま確実に不機嫌になってる…。

『………まぁ。』

きっとメイド喫茶の事を敢えて隠していたアタシが気に入らないんだろう。

『ふふ…。メイド喫茶って提案したヤツ、今すぐシバき回しに行ってい〜い?』

ああ…良守の目が…
据わってる…。

漆黒の瞳に、さらに深い闇が落ち、より冷酷になっていた。

何度見てもゾクッとする

『ダメ。てか多寡が高校の文化祭でやるメイド喫茶に、そんなに不機嫌になんないで。』

しかも、下んない事で瞳に闇を落とすな。
心臓に悪い!!

『馬鹿者。烏森学園のマドンナのメイド姿なんて…』

そんな萌え〜なコスプレ
…発案者は狙って言ったに違いない。
俺の…俺だけの時音が…
他の色んな男の目にに晒され、視姦されるなんて耐えられない。

時音のその可愛い〜口から、鈴のように清らかな声で、『ご主人様…』とか…

いっ、言われてみてぇー。

ふっふ〜。
俺の性奴隷にしてやるよ。
オラ、足開いて濡れ濡れのアソコをご主人様に見せて、入れて下さいと懇願しろよ。

とか?とか?
かーっ//男の夢だぜ。

そんでもって…

すっかりヤニ下がった良守が、さらなる夢に陶酔しようとした瞬間─

『こンの馬鹿良守っ!!
目を覚ませーっ!!』

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