裏会

□惑いの月
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─それから2人は…


柔らかな朝の光が
辺りを白く包む頃まで

飽きることなく何度も

何度も欲情を交わらせた



『あっあっあんっ…んっ…きもちい…良…』

情交の淫らな音に合わせるように、時音の甘い喘ぎ声がひっきりなしにあがっている。

『はっ、はぁ…っく、イク、時音…イッていい?』
『あっ、まっ…タシも…イキそ…。』

早まった律動が深いところをこねて突き上げる。
引いては押してを繰り返し、また押しこねられて、全身にビリビリと痺れが湧き上がる。
そのあまりの快感に、時音は一瞬、気が遠くなった。

『いぁっ、イク、良守っ…良っ…あっあんっいやぁっ…っ!!』

目の前が真っ白になる。

『んっ…んんっ…!!』

意識してないのに、勝手に跳ね回る身体が怖い。

『あっ、くっ…イクよ?も…でるっ…!!』
『ああっ…、んーっ…!!』

強い一突きに震える彼の細い腰。
それから中に射精される熱い感触がまた気持ちイイ…。

ぎゅっと抱き合って互いの耳元に乱れた呼吸が熱くあたる。

『はー…はー…』


深い吐息が
熱くて
甘くて
イヤラシい。

『愛してる…時音…愛してるよ、めちゃくちゃ愛してる…。』

『…ん…うん…。』

何度も愛してると呟く彼の甘い声に、なんでか泣きそうになりながらも、コクコクと頷いてしがみついた。

良守の熱い身体がピッタリと時音に密着して、ドクドクと波打つ鼓動が重なり合う。

『ね…良守…。』

『なに?』

『あのね…大好き…』

『俺も。大好きだよ』

『でもね…なんか…こわい…。』

(好きすぎて…)

後に続くその言葉は、口には出せなかったが…。

代わりに良守にしがみついた腕が震えてしまった。

『…こわいの?』

それを止めようとするかのように、良守は思い切り抱き締める。
まだ熱い身体に、息が詰まるほど強く抱かれて、苦しいのに心地良いと感じていた。

『大丈夫…。こわくないよ、俺がずぅっと…傍にいるから。』

『ずぅっと…?』

『ずぅっと…時音が俺を望んでくれてる限り…ずぅっと…。』

その心地良い存在から、離れることが本当に怖いと思った。

一度知ってしまったこの心地よさを失ってしまう時のことを考えたら…



─私はきっと
   生きていけない



『うん…。ずぅっと…傍にいてね…。』



だから私は望み続ける



良守が、ずぅっと私と共に在ることを。



『愛してるわ、良守…』



一生、貴方の傍で

いつでも貴方と
手を繋いで

どこまでも…

どこまでも貴方と共に

共に歩んで
いきたいから…



『愛してる…』



誓うように、互いにぎゅっと抱き締め合う。

良守の力強いその抱擁に、柔らかに笑みを浮かべながら、時音はそっと目を閉じて、ゆっくりと意識を落としていったのだった。



スウスウと可愛い寝息が聞こえた頃、良守の口から小さな呟きが漏れる。



『一生離さないからな…覚悟しとけよ、時音。』



優しい優しい低い声で、小さく小さく…。


きっと聞こえてないだろうけど…



穏やかな寝息をたてている愛しい人を胸に抱き、良守もまた満足感に包まれながら、深い眠りについたのだった。



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