宝物

□ターゲット
7ページ/8ページ

「単刀直入に言うけどよ・・・アンタに惚れちまったんだ・・・。」

そう告白した零だが、Quintetに背中を向けて、そのままでもう少し続ける。

「男に言われていい気はしないと思う!でも、友達でもいいから俺と―――」
仲良くしてくれないか。と続くはずが、後ろから抱き締められ、言葉は止まった。

力いっぱいではない。優しく包み込むようにそっと抱き締められ、零は目を瞑り俯いた。
「聞いて下さい。」
「お、おう。」
Quintetの声が、まともに零の耳に届く。
「貴方と会ったあの日から、貴方の事を忘れようとしても忘れられませんでした。自分も貴方に惚れてしまったようです。友人ではなく、自分と恋人になって下さいませんか?」
Quintetは、わざとゆっくり喋り、耳まで赤く染めている零の耳を甘噛みした。
「ひぁっ・・・や、やめっ!」
ゆるく抱き締められていたせいもあってか、零はQuintetの方へ顔を向けたが、微笑んでいる彼の顔を見て気恥ずかしくなったのか、顔を肩に埋め、そのまま体も彼へ向きあうようにした。

「零は本当に可愛い人ですね。」
「あ、アンタがそうさせ!・・・てるんじゃねえか・・・。」
もごもごと喋る零にQuintetはフフフと笑う。
「クイン。そう呼んでください。」
「わ、わかった。」
なんとか平常心を取り戻した零は、Quintetから離れたものの、視線は少しズラしている。

その方向へQuintetが視線を持って行くと、反対側にブン、と首を振る。
はあ。と深くため息をつくQuintetは零の名前を呼んだ。
「零。」
「ん?」
不意に顔を上げた零は、大好きな相手の声を聞き、顔を真っ赤にして
「っ・・・クインのばかあっ・・・!」
と言った。



「いつまでも、×××ですよ、零。」
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ