宝物

□ターゲット
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「ターゲット」


一年中を通してヒットマンに休みはない。
死翔零もまた、その一人だ。
今宵は、美しい月が空に瞬いている夜である。


零は、様々な理由があり、今は夕刻学園という学園に飼われている。
学園長や教師たちのお気に入りでもある彼が今回、学園の命令を受けた仕事は、ある一人の青年を殺す事である。
ターゲットの写真を渡され、彼の務める店の場所を聞かされた彼は、その店の近くで潜伏しているところだ。
写真には画鋲か何か鋭いもので穴を何箇所か開けられている。相当な恨みを持った誰かの依頼らしい。見た目はそう、普通に微笑んでいるだけの青年なのに・・・。

すると、店から写真と同じ顔の青年が出てきた。
青年は、ワインレッドの髪と瞳が漆黒のスーツに映えた綺麗な青年だ。
仕事を終えた彼はまっすぐ家へ帰るような素振りはなく、多くの人間が行き交う場所へと進んでいたが、ある時から人の気配がしない方へと歩いて行くようになった。
まるで、零の存在に気づいている風である。
そして全く人のいなくなった場所に出た。そこは、リヴリーアイランド全体がよく見渡せる高台だ。
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