学舎

□パステルな朝
1ページ/2ページ

―――ジリリリリリッ!!
「ん〜…、あー、ヤベッ…遅刻?」
豪快な目覚ましの音に目が覚める。
一生懸命に手を伸ばし、バシッと叩いて音を止めてやると、短い針は7時を指していた。
体が怠い。
特に、腰が妙に重い。
ふと、自分の上半身に目をやると、いつも着ているはずのパジャマはなく、生まれたままの姿で布団に潜っていた。
「ああ…。今日は土曜か…。」
「んーん…。」
隣で何かがモゾモゾと動く。
「ったく、どーゆー神経してるんですか、お前は。」
あんなに大きな目覚ましの音がしたというのに、少し居心地悪そうな反応は見せたものの、神楽は未だに深い夢の中にいるようだ。
俺と同じ、一糸纏わぬ姿のせいか、布団を顔半分まで被っている。
色っぽいはずの格好なのに全く色気を感じない神楽の姿。
それでも、俺にとっては愛しい少女の髪を撫でると、露わになった首筋に、昨夜の行為の証がハッキリと残っていた。
神楽の甘い声や色っぽい姿が脳裏に浮かび、俺のモノが反応しかけるが、頭を左右に振って、なんとか回避する。
(昨日はヤリ過ぎちまったし、神楽もぐっすり寝てんだから、今晩まで我慢しろ、俺!!)
結構早い時間から始めて、窓の外が明るくなるまでヤッていたのだから、神楽の疲労っぷりも納得がいく。
平日は学校があって時間がないし、立場上“タブー”とされている関係だからおおっぴらに付き合えない。
だからこそ、休み前の夜には想いが高ぶり過ぎるのも仕方がないとは思っている。
(まぁ、避妊はしてるし、愛し合ってるし、責任は取るし、問題ねェだろ。)
そうこうしている内に、目覚ましの針は7時を15分も過ぎていた。
神楽の様子からして、まだまだ起きそうにない。
「さてと…。」
身を起こし、眼鏡だけかけ、裸のままベッドから下りた。
これから、俺の忙しい時間が始まる。
(まずは風呂だな。)
昨夜は2人共疲れて、行為が終わったらすぐに寝てしまった。
そのせいか、体が少しべとついているように感じる。
「っと、その前に…。」
もう少しで風呂に入りそうになったところで、優先すべき事を思い出した。
手だけ綺麗に洗い、とりあえず米だけは先に炊いておく。
2人だけの朝飯とは思えない程の量の米を洗い、炊飯器にセットし、ボタンを押す。
「これで、よし。次こそは風呂だな。」
浴槽を洗い、自分はシャワーだけで風呂を済ませる。
神楽一人の為に浴槽にたっぷりのお湯をはり、俺は脱衣所の棚からある物を取り出した。
“桜”の文字が入った入浴剤。
店で見付けた時、いつか神楽の為にと買っておいた物だ。
シュワシュワと泡立ち、ピンク色に染まったお湯からは桜のいい匂いがした。
入浴剤に入っていた花びらがユラユラと水面に浮かぶ。
「おっ!!予想以上にいい感じじゃねーか。」
神楽のはしゃぐ姿を思い浮かべると、それだけで嬉しくなってきた。
新しいタオルを出し、神楽の着替えを丁寧に畳み、カゴに入れる。
風呂の準備は万全だ。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ