ポプ

□ride
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息もそろそろ切れだしてきた帰り道。
喫茶店にでも寄ろうかと考えてた時だ。ファーファーと後ろからクラクションを鳴らされた。
壁際を歩いてるのに何でだろうと振り返れば、1台のバイクが目の前で止まった。
運転手がフルフェイスのヘルメット外す。
そこには見慣れた青色の髪が現れた。

「よぉ」

片手を上げ笑いかけてくる彼はクラスメイトのヒューだった。


*  *  *


「流石バイク!早ーい!」

風に負けないよう声を張り上げた。
あの後私は送ってやろうか?と言うヒューの言葉に甘えバイクの後ろに跨った。そして腕は振り下ろされないようにしろよ。と言う彼の細い腰に巻き付けている。

「この先どっちだっけ?」
「左ー。」

私の指示通りバイクは緩やかなカーブで左折する。
この道を真っ直ぐ行けば自宅なのだが、何だか段々帰りたく無くなってきていた。
出来ればこのまま何処かに行きたい気分だ。
彼の腰に回した腕に力を入れたのでそれを感じ取ってくれたのか


「ちょっと付き合ってくれない?」

彼は前を向いたまま私に向かって叫んだ。

「いいよー!」

きっと今の顔はだらしなく緩んでいるんだろう私も負けじと大声を上げて返事をする。


出来ればこのまま遠い遠い何処かに行きたい。

帰宅するが嫌になった午後4時46分。

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