花びら

□君、恋し。
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ゲームは好きだけどね、それより面白いもの見つけちゃったから当分やらない事にする。


ここ、銀魂高校の屋上は不良のたまり場になっていたりする。鍵が壊れていて簡単に入れるし、給水塔やなんかがあって人目につきにくい。絶好のサボりスポットという訳だ。
普通の人は滅多に近付かない場所になっている。

そんな屋上へ向かうため、立て付けも悪いらしいドアをやっと開いた。
そんな所に何故不真面目であるにしろ不良ではない私がいるのかと言えば、ターゲットが七割くらいの確率でいるから。あと三割は多分学校にすら来ていないんだと思う。不良だし。
お、今日はいた。フェンスに寄り掛かって座る黒い人影が件のターゲットである。そっと忍び寄り煙草をつまみ上げる…、

「煙草吸うなよ未成年」

「…またてめェか」

…と、剣呑な視線を投げてきたコイツが、目下の攻略対象である高杉だ。生粋の不良なのですよこの子は。他校のヤクザ紛いを返り討ちにしたとか気に食わない先生をフルボッコにしたとか、色々噂があるだけあって、鋭い視線に射殺されてしまいそうだ。片目だけでここまでの威力なら、両目だったらどうなってしまうんだろう。撃沈するな。
とりあえず最初の挨拶はこのくらいにして隣に座ってみた。

「それ返せ」

「やだ」

「…チッ」

取り上げた煙草をくわえてやると舌打ちをして新しい物に火を点けた。その動作が流れるようで思わず見とれてしまう。作りが綺麗な奴はいいね。何やっても整って見えるから。ふわりと紫煙が空に溶けた。
真似して煙を肺に回そうとしたらむせた。かなり重いよこれ。咳込む私にクツクツと笑みを漏らした高杉はそれでも背中をさすってくれた。

「バーカ。普段吸わねェ奴が粋がるからだ」

「ん…。ありがと、高杉」

にっこり笑うと高杉の頬に朱が差した。あー可愛い。いやかっこいいんだけど。普段クールなのにこのギャップはなんだろう。ギャップルール?
見つめていたら目を逸らされて、背を向けられてしまった。

沈黙。

「べ、別に礼言われるような事してねェし…!」

やっと口を開いた高杉は、こんな、すごいありがちなセリフを吐いた。でもそんなもので鼓動が早くなったりするんだから、この世って奴は本当に面白く出来てると思う。
こんなツンデレな彼に、私は恋をしています。



君、恋し。



ツンデレをデレさせるのもまた一興ってね。




―――――

「つんでれ依存症。」様提出予定だった物です。提出する前に終了なされたので残念です…。
参加させて頂きありがとうございました。そして本当にお疲れ様でした。

10.1.16 煌





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