様々なカプを書く企画(仮)−ブック01
□【ヒョウタ受け】ダイゴ
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「はい、どうぞ」
コトリ。テーブルにカップを置く。書類の束から視線をあげたダイゴは爽やかに微笑んだ。
「ありがとう、ヒョウタくん」
「いえいえ。珍しく頑張ってるからね。ダイゴさん」
「珍しくは余計だよ」
ダイゴは面白くなさそうに口をとがらせる。まるでしょげているドーブルのようなその様子にヒョウタは笑みをこぼした。それがまた気に食わなかったのか、彼は眉を寄せる。
「怒らないでよ」
「別に、怒ってないよ」
「それならいいけど。ほら、コーヒー冷めちゃう」
ヒョウタに促され、ダイゴはコーヒーを口に運んだ。あたたかい感覚が喉を過ぎた頃には、彼の機嫌も元に戻る。むしろ上向きだ。
「でも、最近真面目だよね。そりゃ石掘りもしてるけど、前より会社の仕事手伝ってる」
「うーん、オヤジも年だし、そろそろ将来のこととかね」
「いまさらな気がするけど。それでもよかったよ。ちょっと気になってたからさ、どうするのかなって」
余計なお世話だろうけど、と少し寂しそうに笑うヒョウタを見て、ダイゴは手招きした。テーブルの反対側にいた彼は、なに? と素直にダイゴのほうにまわってくる。ちょうど真横まで到達した時、彼はヒョウタの腕を掴んで、自分のほうに引き寄せた。持っていたおぼんが床に落ち、カツンと音をたてる頃には、ヒョウタはダイゴの膝の上。
「な、なにどうしたの、急に!?」
「うん、だってね、大切なこと伝えてなかったなぁと思って」
ヒョウタに顔を近づける。鼻と鼻とが触れ合いそうな至近距離。
「将来のことを本気で考え始めたのはオヤジの年とか、自分のためとかじゃなくて、キミのためだよ」
「……え?」
「一緒にいるためにはどうしたらいいかな、とか。こっちに住みながらでも充分会社経営できるシステム確立させようとかさ」
そのための布石をうってるんだよ、と耳元で囁いたダイゴは、軽く、本当に触れるか触れないかぐらいの口付けをヒョウタにし、そのまま彼を抱きかかえるかたちで、再び書類へと視線を戻した。