様々なカプを書く企画(仮)−ブック01

□【ヒョウタ受け】グリーン
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「それでよぉ、カスミのやつがデートだからもう帰るとか言って会議を抜けやがったんだよ」

「えー! それは大変だったねぇ。でも来るだけ偉いよ。デンジなんてさぼりだもんさぼり!」

「さぼりってお前」


二人が話しに花を咲かせているのは、トキワシティの外れにある居酒屋のカウンター席。共に苦労者である二人は各地のジムリーダー(イッシュなどの外国を除く)が集まる定例会ですぐに意気投合した。その時からこうしてたまに飲みに行っては愚痴を言い合っている。あくまで愚痴であり、互いに悪口は絶対言わない。そういうところも気が合う理由の一つだろう。
どれだけ飲み交わしただろうか。ザルであるヒョウタはピンピンしているが、隣に座っているグリーンは完全にのびていた。やれやれと思いつつ、こういう時にしかハメを外せないんだろうな、と少し同情。ヒョウタはそれでも発掘作業でいくらかのストレスを解消しているが、グリーンにはそういった趣味も特にないらしい。


「ほら、グリーンくん、帰ろうよ。肩貸してあげるから」


軽く体を揺すって声をかける。
がばっ! しばらく無反応だったグリーンが唐突にテーブルに伏していた上体を起こした。驚いて肩からは離れたものの、まだ近くをさ迷っているヒョウタの手をおもむろにつかみ、目を見据えて言う。


「俺もお前を困らせるかも」


真剣な瞳。どういうことかと問おうとしたが、グリーンはすぐにまた眠りに落ちてしまった。歩けそうにないから頼むという意味だったのかな。いや、それにしてはあの目が気になる。そんなことを考えつつ、ヒョウタは二人分の代金をひとまず支払った。彼がこの町にかりているアパートには以前何回か行ったことがある。そこまで連れていけばいいだろう。そう結論付けて、自分とそうかわらない背丈のグリーンをおぶる。


「うーん」


さぁ、行くぞと一歩踏み出した時。背中のグリーンが小さく唸る。目を覚ましたのかと思ったが、どうやらそうではないようだ。完璧な寝言。


「好きだ〜」


ポツリ。と呟かれた言葉。告白する夢でも見てるのかな? と想像するヒョウタの脳裏にふと、先程の彼の言葉が浮かんできた。
――俺もお前を困らせるかも。
好きの言葉と一緒に頭をぐるぐると旋回するフレーズ。


「まさか……ね」


考えすぎだ。第一両方とも男だし。ヒョウタはバカな自分の考えを打ち消すと、今度こそ本当にグリーンの家に向かって歩き出した。

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