text

□花火<君
1ページ/4ページ


夏も終わりに近づく8月の暮れ。
この時期になると中学の近くで毎年花火大会が開かれる。


『柳生と行きたい』

そうねだったら二つ返事で引き受けてくれた。
何か意外じゃ。絶対勉強が云々言うて渋ると思ったんにのぅ。


柳生は基本的に俺に甘い。
友人関係だった時もだが、恋人となってからは尚更。
部活の時だって公私混同を嫌がる節のある奴らとは違って、それなりに優しく扱ってくれる。

嫌では無いが、時々むず痒い。


「仁王君、綿菓子は如何ですか?それともりんご飴の方がお好みですか?」

「そうじゃのー、どちらかと言えば焼きそばがええ。」

「選択肢にはありませんが…、分かりました。ではあそこで買いましょう。」


…でも時々俺が男だってこと、忘れとる気がするのは何でじゃろうな。



_
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ