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□花火<君
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あまり人の居ない所を選んで腰を降ろした。
花火が上がるまでの時間を焼きそば食べながら潰す。
部活で忙しかったけ、中々2人の時間を作れなかった分色々話した。
部活のこと。家のこと。夏休みの宿題のこと。進路のこと。



柳生との時間はあっと言う間に過ぎるから困る。まだ全然話し足りんのにもう花火が打ち上がる時間じゃ。


ひゅーと言う音の後に腹に響く破裂音。
同時に暗闇に沈んでいた柳生の顔が赤や緑に淡く照らされた。


「おや、始まりましたね」

柳生が空へと視線を移したから、俺もそれに倣って空を見上げる。
雲が一切ない陰りのない夜空に、色とりどりの花が咲いた。

地元じゃ有名な大会なだけに華やかで数も半端ない。


「綺麗じゃのぅ」


思わず感嘆の言葉が漏れたがそれは仕方なか。


「そうですね。本当に綺麗だ」

うっとりとした様な恍惚とした声色に何気なく柳生の様子を伺うと、空を見上げているかと思っていた相手とレンズ越しに目が合った。


じゃあ…さっきの言葉は?


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