夢が集いし魔法の夜
□危機からの生還
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『本当にしないとだめなのかしら? 別にあなた達なら日常に支障は出ないでしょ』
『……って言ってもねー。“普通”の生活に必要ない力なのは本当だし。他の皆はもう術式使ったらしいんだよ』
仰々しいローブを纏った一人の少女。誰かに似ている顔をしているけれども、見たことのない真剣な顔をしていた(?)。
そして何故か、どこか寂しそうで、悲しそうな表情で。
でも、それに“こっち”は気づかなかったらしい。
『……わかった。でも一つ教えておく』
『何でそんな怖い声で忠告? ……なに』
『私の仕掛けるこの術は欠陥がある。“ある時間”だけ解けるようにこっそりセットしておくから。
…………それに、脆くなった状態で“魔術”に触れれば、完全に壊れるようにする』
『……あー、わかった。できるだけ“覚えておく”』
そうポツポツと伝えた少女は、“こっち”の視界を両手でそっと優しく包みながら言った。
今度こそ、“こっち”にもわかるぐらいの悲しい声で。
『大丈夫。きっとすぐにまた私達のところに帰ってくる…………』
少女の手がやけに震えていることに“こっち”はようやく気づいた。でも、その時はもう遅かったらしい。
そこで、視界は光に飲み込まれていく。
『皆でまたすぐに会える。またね、ユウキ』
『はいはい、わかりましたよ〜』
そこで、夢は終わる。