夢が集いし魔法の夜


機からの生還
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 『本当にしないとだめなのかしら? 別にあなた達なら日常に支障は出ないでしょ』


 『……って言ってもねー。“普通”の生活に必要ない力なのは本当だし。他の皆はもう術式使ったらしいんだよ』




 仰々しいローブを纏った一人の少女。誰かに似ている顔をしているけれども、見たことのない真剣な顔をしていた(?)。

 そして何故か、どこか寂しそうで、悲しそうな表情で。

 でも、それに“こっち”は気づかなかったらしい。




 『……わかった。でも一つ教えておく』

 『何でそんな怖い声で忠告? ……なに』

 『私の仕掛けるこの術は欠陥がある。“ある時間”だけ解けるようにこっそりセットしておくから。

 …………それに、脆くなった状態で“魔術”に触れれば、完全に壊れるようにする』


 『……あー、わかった。できるだけ“覚えておく”』




 そうポツポツと伝えた少女は、“こっち”の視界を両手でそっと優しく包みながら言った。

 今度こそ、“こっち”にもわかるぐらいの悲しい声で。




 『大丈夫。きっとすぐにまた私達のところに帰ってくる…………』




 少女の手がやけに震えていることに“こっち”はようやく気づいた。でも、その時はもう遅かったらしい。


 そこで、視界は光に飲み込まれていく。




 『皆でまたすぐに会える。またね、ユウキ』

 『はいはい、わかりましたよ〜』




 そこで、夢は終わる。


 
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