ゆるく、ふぅっと息を吐く。 唇からもれた紫色の煙が藍色の空にただよう。 空に揺らぐ星の光にそれをかぶせ、悲しそうにくすんだ色に目を細めた。 あぁ、あなたは、 今どこにいるのですか?
スーツ、新調したんだ。と微笑んだあなた。 何も知らない俺は抱き寄せ、唇をささげ、賞賛の言葉をただ並べていた。 あなたの微笑みの中に悲しみが潜んでいる事なんて気づかないまま。 じっと俺をみつめる瞳の色が深く、深く、橙色の太陽をたたえていた。 ねぇ、愛しているよ。 深く、深く抱き寄せて、そのまま放さなければよかった。 ひとつになればよかった。 傷だらけで動かなくなった手。 もう開かれる事はないその瞳に、心臓がぽっかりと、空白になった。 冷たくなった体。その感触やその匂いやその肌の質感はそのままなのに、 もう、あなたはそこにいなかった。 |