友達なんて、いなかった。 ついでに言うと“人を好きになる”なんて気持ちもよく分からなかった。 京子ちゃんへの気持ちも、好きなのか憧れなのかその判断さえもつかなかった。 そんな、俺が。
「十代目!おはようございます!」 「おはよう獄寺くん!」 俺の姿をみただけで獄寺くんが目を輝かせる。 みなれた光景とはいえ、毎度のごとく胸がくすぐったい。 付き合いはじめてまだ少し。その間に色んな表情の獄寺くんに会って、慣れることなくドキドキする。 俺なんかでいいのかなとか何でだろうとか、すごく不思議だけど、側にいてくれる。 「いよいよ明日がお誕生日ですね、十代目。あの、考えていただけましたか??」 「え、え〜っと…」 恋人の誕生日。 プレゼントは必需品で、でもどうしたらいいか俺はわからない… ゲームのソフトは最近買ったし、靴も服も最近買ってもらったばかり。 欲しいものが思い浮かばない…でも特にないとか言うと悲しそうな顔をするんだよなぁ… 「じゃあ、明日の朝教えてくださいね。放課後一緒に選びに行きましょう?」 にっこりと微笑む獄寺くんにドキドキしつつ、対象的にきっと俺は引きつった笑みを浮かべてたと思う。 プレゼント…ダントツで最近の悩みだった。 |