青空の広がる屋上。 どこまでも続く青と対照的に頬をそめる少年ひとり。 「え…いきなり聞かれても…」
昼休みのわずかな時間を屋上で過ごすのは、彼らの日課だった。 可愛らしく頬を染める彼も、かつてはただのクラスメイトだったが、今は苦楽を共にしている仲間であり、親友に他ならない。 ダメツナって言ってるやつがいるけど、全っ然分かってね〜のな! あったかくて、小さいのにありのままを受け止める強さをもっているツナ。 どこがダメなんだっつーの。 「で?どこがよかったんだ?獄寺の!」 そんな彼にも春が来た。 相手は同じ仲間である頭脳明晰かつ容姿端麗という恵まれた条件をさらりとまとう男である。 ただし、彼は“十代目”以外には興味がない。 「えーーー、なんだろう…。えー。うー…」 初め聞いたときは驚いた。と、同時になぜか納得した。説明はできないけれど。 まぁ、親友をもってかれて悔しい気はするけどな。 「…う〜ん、強いて言うなら…」 言いかけたところで、盛大な足音がきこえてきた。 「じゅっ、じゅうだいめぇ〜〜〜〜っっ!!」 バンッと大きな音をたてて屋上のドアから飛び出てくる。 「わっ!ご、獄寺くん!」 「おっ、きたのな〜!」 銀糸に翡翠の瞳。 どんなに女子に騒がれようが、一切無視を決め込む彼の恋人。 カツカツとふたりに近付くと有無を言わさず山本につかみかかる。 「山本〜!てめぇ!なんて質問を十代目にしてんだっ!」 えっ!?俺っ!? 「や、いや、素朴な疑問なんだけど…なんかまずかったのか?」 焦って聞き返す。 やべぇ、このままじゃあ果たされる! 「獄寺くん、やめてよ〜っ!落ち着いてっ!」 慌ててツナが仲裁に入る。とたんに獄寺の腕がはずれ、今度はツナの両肩をしっかりとホールドする。 「十代目!考えちゃだめですっ」 いつもはツナに見つめられただけで、蕩けそうな笑顔になる彼が、珍しく必死。 「ど、どういうこと…??」 とりあえず、考える事をやめた様子がわかると、分かりやすくホッとする。 そして ツナに近い、触れてる、しかもホールド。 …みるみる間に顔が赤くなったり青くなったり。 もーしわけありませんっ!と土下座まではじめようとする始末。 「いいから!いいから!獄寺くん!大丈夫だから!」 あわててツナもフォローに入るが、そんな彼の頬は始終色づいている。 「あの、あの、なんかですね。以前どこかの雑誌で読んだんですが、つきあっているカップルに相手のどこが好きかを真剣に考えさせたカップルと、そうじゃない方とは断然前者の方が半年後に別れているという結果を残したらしいんですよ。」 「「へぇーっ!!!」」 ツナと山本が合唱する。 「へぇ!そうなんだねー!だから…」 何かを言いかけて、ボッとツナが顔を更に紅くする。 それに気づいた獄寺も追随するように頬を染める。 …なんだかんだ言っても、よくわからないうちにものすごく幸せそうだ。 それに、どんだけ離れててもツナの話は聞こえるのかよ… 愛…なのな… 青空の広がる屋上。 どこまでも続く青と対照的に頬をそめる少年ふたり。 いつまでも幸せであってほしいと願う山本だった。 あとがき |