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□アスへのツバサ
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じゃなくて、こんなんじゃなくて。
俺の未来はもっと明るくて、輝いてて、みんなと一緒にいて、みんなの大切な人も幸せに笑ってて。


そうだと思っていたのに。



そう、信じていたのに。













アスへのツバサ












もう何度目か分からない。
天井のタイルの筋を目で撫ぜる。右、角を曲がって下へ。右へ、左へ。

そうすれば眠れるかのように。

どうすれば眠れるのか分からずに。


まぶたを閉じても眠気なんていっこうに襲ってくる気配もなく、結局そのまぶたの裏から天井の筋をまた追いかける。






しばらくずっとだ。



夜中に突然目が覚める。
ふと目が覚めるのではく、先ほどまで夢の中をまどろんでいた感じなど一切のこさずパチリと目が覚めるのだ。







わかっている。
今が10年後で、それだけでも不安なのに、「未来」なんて途方もないものをかけて戦っている。
それがどうしようもなく、重荷になっているということ。







「はぁ…」





誰に聞かせるでもなく声を出して息を吐く。
むしろ自分に言い聞かせているのか。どうしようもないと、逃げられないと、だから落ち着けと。


あきらめるんだ、と。












学校に行って、獄寺くんと山本と三人でお昼ご飯を食べて、さわいで、笑って。
ついこの間までの当たり前の毎日。


思い出すのは楽しい日々で、時々、現実が受け入れられなくなる。



目を閉じて、目を開けたら元の並盛で、もう遅刻しそうな時間なんじゃないか。
白蘭とかミルフィオーレとかちょっと恐ろしい夢かなんかで。
こんな夢見ちゃったよとまたみんなで笑う。







もはやありえない想像ばかりが浮かんでは消え、浮かんでは消え。







しん、と静まった部屋。
唯一きこえるのは時計の針の刻む音。










ち、ち、ち、ち
















そっと、寝返りを打つ。






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