不思議のダンジョン?!

□雷鳴の山
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ナマズン
「━━そうか…ネイティオはそう言っておったのか…」

バッツ
「結局振り出しに戻ったって感じだよなー」


 おおいなる渓谷での出来事をティーダ達はナマズンに話した。

 結局、これといったことは分からず仕舞い。

 ただひとつ分かった事は、ティーダ達がこの世界に呼び出された原因がエナにあった事。


ティーダ
「とにかくさ、今まで通り救助隊やりながらちょっとずつ探そうぜ。オレ達もエナも、仲間を探すって同じ目的なんだしさ」

クラウド
「確かにな。どちらにしても、情報が足りない」


 うーん…とみんな口ごもる。この状態ではどちらも何日掛かるか分からない。


ナマズン
「そうじゃ。おぬし達、ちと試してみたくはないか?」

バッツ
「試す?」


 ナマズンの後ろでエナが「まさか」と冷や汗を垂らした…



* * * * * * *



 ゴロゴロゴロ…ピシャアァ!…ドーン…‼

 頭上は常に曇天の空。更に山頂には雷がひっきりなしに降り注ぐ。

 雷が落ちる度に、腹に重い振動が響く。


バッツ
「ガブラスが行かないって駄々こねた理由が分かったぜ…」


 要するに、怖いのだ。雷が。


ティーダ
「ガブラスは物理攻撃には強いけど、飛行タイプだから雷には弱いんだよな」


 そう、タイプ相性から考えてガブラスには危険区域なのだ。


バッツ
「で、この山の頂上に…何が居るんだっけ?」

エナ
「サンダーが居るわ」


━━ーー--…

ナマズン
『━━この地を見守る三体の神がおる』

バッツ
『神?』

ナマズン
『空を駆ける伝説の鳥ポケモン。大地降り注ぐ雷の化身サンダー。燃え盛る灼熱の炎の化身ファイヤー。吹き荒れる凍てつく氷の化身フリーザー。彼らはこの大地を空より見守る守り神じゃ。彼らなら、何か知っておるかもしれん』


━━ーー--…


バッツ
「神様ねぇ…。ま、ちょちょいと行って聞いてみりゃいいんだよな!」


 バッツが軽くぴょんと跳ねる。


エナ
「バッツ、あんた一番危ないからよく聞きな。サンダー、ファイヤー、フリーザーは甘くない。何かを得るには彼らからくだされる試練を乗り越えなければならない」

ティーダ
「し、試練…?」

エナ
「彼らと戦い、勝って実力を認められる事」

ティーダ
「戦わなきゃいけないのか?!」

エナ
「実力の無い者に情報を与えても無駄。そういう事よ」

バッツ
「なーんだ。そんなことか」


 バッツは変わらず頭の後ろで手を組み軽く流す。


エナ
「彼等は強いよ」

ティーダ
「マジッスか?!」

バッツ
「なんだよー。びびってんのかー?」

ティーダ
「そ、そんなことねーって!」

バッツ
「エナさぁ、悪いけど俺達負ける気しないから」

エナ
「その自信、どっから湧いてくるの?」

バッツ
「前にも言っただろ?俺達は戦いの中に居たって。俺達はこの世界を創った神とも戦ってる。だから俺達は、こんなことでびびらない」


 バッツはニッと笑うと再び歩き出す。

 なるほど。こいつらなら、本当に何とかしてくれるかもしれない。

 密かに微笑むと、エナもバッツ達の後に続いた。



* * * * * * * * * *



 どれくらい登っただろうか…。上へ上へと行く度に落雷はいっそう酷くなる。

 時には自分達のすぐ隣に落ちたりする。

 それでも、ティーダはいくぶんか平気そうだ。

 ティーダの世界には『雷平原』という落雷が絶えない場所がある。そこで養ったのだろう、落雷を難なくひょいひょい避けている。万が一当たっても、電気タイプだからまぁ大丈夫なのだが。


エナ
「流石にここまで来ると避けるのも大変ね」

バッツ
「ま、待ってくれよ〜!」


 ティーダが振り返ったその時!

 ピカッ‼

 眩しい程の光が辺りを包んだ。

 瞬間、ドーン‼という凄まじい音と、地響きがバッツ達を襲う。


ティーダ
「バッツ!エナ‼」


 落雷だ。それが二人の元に落ちてきた。

 ティーダは青ざめた顔で二人を呼ぶ。

 すると…


バッツ
「ゲホッ、ゲホッ…な、何が起きたんだ…?」

エナ
「分からない…あたし達、何故平気なの…?」

ティーダ
「バッツ!エナ!良かったー‼無事だったんだな!」

エナ
「今の、落雷よね…?」

ティーダ
「二人に直撃したから、もうダメかと思った…」

エナ
「直撃?あたし達には当たっていない。…軌道がずれたのかしら…」

バッツ
「ぼぁぁあぁあぁああ‼‼」

ティーダ
「バッツ?!」


 バッツの悲鳴の先、バッツ達の後ろにそいつは立っていた。

 岩のような体にがっしりとした体格。ドリルのような一本角。


エナ
「サイドン…!?いつの間に…!?」


 先程の落雷が二人に直撃しなかったのは、サイドンの避雷針のおかげだと知る。

 しかし、この山に何故サイドンが…!?


バッツ
「お…おい、こいつ動かないぞ…?さっきの落雷に打たれて死んだんじゃ…」

エナ
「あり得ない。サイドンに電気は一切通用しないはずよ!」


 エナが警戒する。いつでも飛び掛かれるように姿勢を低く屈める。

 そして、サイドンが動く。


サイドン?
「ぬ?何が起きたのだ?」

バッツ
「反応遅くね?!」

サイドン?
「おぬしら誰だ」

バッツ
「や、お前こそ誰だよ!」

サイドン?
「む、失礼なトカゲだ」

バッツ
「トカゲじゃねー!俺の名前はバッツだ!」

サイドン?
「???バッツだと?」


 サイドンが動きを止めて考える。

 はて…?聞いた事ある名前だな。。。


ティーダ
「どうしたんだ…?」

バッツ
「さぁ…わかんねー。急に腕組んで考え出した」

サイドン?
「貴様、もしやコスモスの戦士か…?」

ティーダ
「あんたもしかして………誰?」

バッツ
「思わせ振りに言っといてわかんねぇのかよ!」

ティーダ
「だってなんか…似たような奴いっぱい居るじゃん。ガーランド?ゴルベーザ?」

ガーランド
「わしはガーランドだ」


 あぁ…またカオス組←


バッツ
「で?なんでガーランドはこんなところで突っ立ってたんだ?」

ガーランド
「うむ…状況が把握出来なくてな、ここでしばらく考えておったのだ」

エナ
「その横をちょうどあたし達が通り掛かって落雷にあったわけね…」

ガーランド
「うむ。考えていて良かったと言うべきか…おぬしら何か知っておるか?」

ティーダ
「なんとなく分かるけど…とりあえずやることやって基地に帰ってからでいいッスか?」


 確かにいささか落ち着かない場所なのは百も承知なのでガーランドはすんなり承諾した。
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