リクエスト

□わろりあん様へ
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 それは、見たことのないマテリアだった。

ティファ
「すごく綺麗…。まるで海から生まれたみたいだね」

 俺の手元を覗き込むティファがそう呟く。

 確かに、海のように綺麗な青。その色は一定ではなく、見方によってはコバルトブルーにも見えるし、深海を思わせるサファイアにも見える。

 とにかく、海の波の揺らめきのように様々な色へと変わる。

バレット
「おい。ところでなんのマテリアか分かったのかぁ?」

 痺れを切らしたようにバレットが問う。

クラウド
「分からない」

 そう答えると呆れたように溜め息を吐く。

バレット
「分かんねぇなら使ってみろってのー!」

クラウド
「確かにな」

 さっそくマテリアを装備する。すると…

クラウド
「分かった。召喚マテリアだ」

バレット
「分かったのかよ!」

 マテリア穴に嵌めてみると、召喚用マテリア穴にしか嵌まらない。

ティファ
「でも、不思議ね。こんな色の召喚マテリア初めて見た」

 自分達の知る召喚マテリアは朱色。青色と言えば支援マテリアだが、その色味とも違う。

クラウド
「ん…?」

ティファ
「どうしたの?」

クラウド
「いや…」

 俺の装備から外せない…。

 取り付けた時点でクラウド専用になったという事だろうか。

 まぁ最悪召喚獣なんてなくても俺はいけるけどな。等と考えながら、クラウドは仕事へと戻った。

 そんなある日。

 いつも通り『なんでも屋』の仕事を受けたクラウドだったが、この日は少し様子が違っていた。

 亜種退治のクエストで、レベルもさほど高くない。1人で十分だと感じ、現地に赴いたのだが、何故か内容とは違うクエストが発生した。

クラウド
「グッ ァ──!!」

 したたかに叩きつけられ、肺の空気が一気に吐き出される。

 強い。せめて誰か1人でも居てくれたら──。

クラウド
「回復…しなければ…」

 動けるうちに!だが、相手が迫る。間に合わない!

 ここまでか──ッ

 その時、マテリアがひとつ反応する。

 煌めく青。クラウドの周りが海の揺らめきに変わる。渦を巻く水柱。その水がほどけると、中から少年が姿を現す。

 手には水を切り取ったような剣。すう…っとひとつ息を吸うと、脱兎の如く大地を蹴る。

 速い。あっという間に相手の懐に入ると、水の中を泳ぐように剣撃を叩き込む。

???
「おやすみっ!」

 最後の一撃で、相手の体は崩れライフストリームへと溶けていく。

 クラウドは呆気に取られていた。

???
「よっと」

 少年は軽やかに降り立つと、クラウドに手を差し出す。

 少年の瞳は、マテリアと同じ海のような綺麗な青色をしている。彼の手を借り、クラウドは立ち上がる。

???
「やっと召喚してくれたッスね」

クラウド
「…君は?」

ティーダ
「オレ、ティーダって言うんだ。よろしくな!」

 ティーダと名乗った少年は、海のような瞳をした、太陽のように煌めく不思議な少年だった。

 その召喚を期に、ティーダはちょくちょく現れるようになった。というのも、普通の召喚獣と違い戦闘でなくても出てこられるようで、単純な話「会いたい」と思えば応えてくれる。
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