仔犬の居るレストラン

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 いつも来る常連さんの中でも、煩くて目立つ人と静かであまり目立たない人と居る。

 あの人は、どちらかと言えば後者かな?

 でも、存在感はある。

 カランコロンと扉の鈴を鳴らし、今日もあの人が来店する。

 いつもと同じ、店の奥の席にどかりと座る。

 最初に反応するのはザックス。アンジールも、あの人が来ると喜ぶ。


ザックス
「相変わらずだな〜セフィロス」


 そんな事を言いながら、机にお冷やを置く。

 毎度の事ながら、そんなザックスに対してセフィロスは大きな溜め息を漏らす。


セフィロス
「お前は賑やかすぎる」

ザックス
「何言ってんだよ!これが俺の売りなの!な!」

ティーダ
「お、おう」


 いきなりの振りに思わず苦笑がちに答える。

 するとザックスは納得いかないのか、ズイッとティーダに詰め寄った。


ザックス
「俺達のモットーはなんだ?言ってみろ!」

ティーダ
「え?!えーっと…『明るく元気に最高の笑顔でお出迎え』?」

ザックス
「その通り!だから俺達は常に元気に!笑顔でー」

アンジール
「"客の雰囲気を見て空気を読め"とも教えたはずだが?」


 いきなりの声にザックスの重力に逆らった髪が更に逆立つ。


セフィロス
「そういう事だ。俺の専属はティーダでいい」

ティーダ
「え、え?!」

ザックス
「ちょ、ちょっと待てよ!勝手に専属決められてもコイツだって忙しい…」

セフィロス
「なら空気を読んでもらおう。俺は今、何を飲みたいと思っている?」

ザックス
「はぁ?!」


 いきなりの問題。

 アンジールはやれやれと苦笑しながら厨房に戻ってしまった。


セフィロス
「どうせ今の時間は暇だろう?お前達二人のどちらが空気を読めるか吟味してやる」


 セフィロスがニヤリとイタズラっぽく笑う。

 確かにこの時間はレストランというよりカフェとして開いているので客足は少ない。

 だから暇と言えば暇なのだが…
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