仔犬の居るレストラン

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 俺はカイン。カイン・ハイウィンドだ。

 今俺はとあるレストランの前に居る。

 口コミが口コミを呼んで人気のレストラン。

 何故ここに居るのかって?

 それは、俺の親友セシルの為さ。

 あいつ、どうやらここの店員にぞっこんらしいんだ。

 全く、ローザを奪っておいてそれはないぜ。

 諦めた俺の気持ちはどうなる?とにかく二股なんて俺は絶対許さない!

 ローザにひけをとらない奴なんて居るわけない!

 今日はそいつをたたき出してセシルとの関係を断たせてやる!


カランカラン…


「いらっしゃいませー」


 人気のわりには広くない店内をズカズカと歩く。

 空いている席にどっかりと座ると、店員が注文を取りに来る。


ザックス
「いらっしゃいませ!ご注文は?」

カイン
「……」

ザックス
「あのー?」

カイン
「…出せ」

ザックス
「え?」

カイン
「ティーダという女が居るだろ。出せ」


 そう言うと、目の前の店員はハトが豆鉄砲をくらったような顔になる。

 更に近くに居た客がこちらを見て顔をしかめた。


ザックス
「えーっと…失礼っすけど、お客様は何用で?」


 む、とぼけるつもりか?!


カイン
「居るんだよここに…セシルの愛人が!」


 机をバンッと叩くと、ガヤガヤしていた店内が静まり返る。

 そこまで驚かすつもりはなかったんだが…まぁ、仕方ないだろう。


ザックス
「愛人て…」

カイン
「何が可笑しい!セシルにはちゃんとローザというフィアンセが居るんだぞ!?」


 まぁまぁ、と店員が俺をなだめる。なんだ貴様等、共犯者か?!


ザックス
「まぁ確かにウチにティーダという店員は居ます。でも、あいつは男でセシルとは友達、OK?」

カイン
「な、なに?!」

ザックス
「確かにね、女みたいで可愛いよ?でもウチの看板は誰にも渡せないよ〜」


 そう自慢げに話す店員に客が「嘘つけー、ザックスが独り占めしようったってそうはいかねーぞー!」などとヤジに似た声が飛ぶ。


ザックス
「うるせーな!看板なのには間違いねぇだろ」


 「そりゃそうだ(笑」って、納得か!
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